三田レザーの誕生に向けて②

作者探し

剥いだレザーの仕入れから、鞣し工程(姫路)を経て、皮から革へ辿る工程は、三田食肉公社の中田さんのお陰で出来るようになりました。つぎは製品化する作者探しです。

自営業のクリーニングでは鞄のクリーニングと修理をしているのですが、修理はもともと提携しているお直し工場にお願いしていました。稀にそこでも対応できない案件が来るのですが、その時にお願いしていたのが、八景中学、篠山鳳鳴高校で同級生だった亀川さんです。

ハンドメイドバッグの作者で主にオーダー品の販売や、ブティックに卸している方で、難しい修理案件も対応してくれる心強い方です。

三田レザー製品化の話も快諾頂きサンプル作りから積極的に参画いただきました。

試作品作り

まず、三田レザーの特徴としては、

三田市は近畿のシベリアと呼ばれる程、冬場の冷え込みは強く近畿地区では中部にあたる三田ですが豊岡などの北部のまちよりも冷え込みが強くなるほどです。

夏場は盆地特有の暑さもあり、この寒暖差が三田牛の美味しさにもつながってくるのですが、

冬場の厳しい気候から身をまもるために牛の表皮は薄くなり、毛穴の密度が高くなり繊維質が高まります。

したがって薄くても丈夫という特徴をもちます。

その薄くても丈夫という性質を用いた製品を作成していくことにしました。

まずは身近なモノからと財布作りをはじめていき、出来てきたのが、

二つ折りにこの財布です。

コンパクトで手のひらに収まる大きさです。お札カードコインが入り、

きめ細かくなっており手入れすればするほど艶感がでてきます。

小さいながらも高級感がでていると思います。

三田レザーの特徴がでているなと思います。

 

三田レザーの誕生に向けて

 

1年半ほど前の2020年10月ごろ、所属している一般社団法人三田青年会議所で、専務理事職を請け負った際、当時の理事長の中田英一さんと車移動をしているときに、何気ない会話からスタートしました。

青年会議所の理事長と専務は野球でいう投手と捕手、店舗でいう店長とマネジャー、

夫婦の間柄に近く、家族とすごすより長い時間を共有する変な間柄となります。なのでこれからの夢や野望などを語る機会が多くなります。

人口減する三田市

僕はもともとクリーニング業を継ぐために5年ほど前に、大手のスポーツ用品店を退職し三田へ戻ってきました。三田市は1980年代のニュータウン開発で急激に人口が増加し10年連続人口増加率全国1位をとり、賑わいとともに発展してきました。しかし、現在はその反動ともいえる少子化をともなう高齢化社会を迎え入れます。それも全国でも稀な速度で。。。

厳しい家業

そんな中、私の実家は明治創業のクリーニング店。老舗とまわりには言われていますが、毎日朝から晩まで必死に父と母は働いています。

クリーニングの市場規模は年々縮小し、いっとくは1000億市場が、コロナの影響もあり300億規模に。家業も三田市の発展とともに1980年代に急成長し、いまは年々厳しい経営状況となっています。また、大手の参入もあり、値段も大手にあわせていたので、いつもくたびれ儲けです。

わたしが帰郷した際に、大手にはできない何か特色をつけなければと考え、その時に全国でも取り扱いが少ないレザー製品のクリーニングが出来るようにと勉強と実践を重ねました。

いまでは全国各地からご依頼がくるようにまでなりました。

なんとかしたい

家業を続けているなかで、やはり、このまま続けていてもいつかは衰退してしまうとも思っていました。三田市自体が元気にならないと会社も戻らないなと考えました。

なにかまちおこしになるもはないかなと、クリーニングの配達中に毎日考えていたときに、

自分の経験(レザークリーニング)と、三田市には全国に誇るブランド牛三田牛があることから、その革を使ってブランドをつくり、三田市を盛り上げていけるのでは?!と行きつきました。

とはいっても、三田牛の革なんかの入手方法もわからないし、ましてや剥いだ皮をなめして革にする伝手もないし、できないだろうなーと半ばあきらめながらも心に持っていました。

偶然

そんなレザー製品をつくる夢をもっていました。そんな時、三田青年会議所で専務理事をすることとなり、当時の理事長の中田英一さんと車移動をしているときに、会社の事なども相談していて、そこから将来の展望についての話をしていたのですが、

三田牛の革でレザーを作りたいんすよねー

と、何気なく言ったら

え?それ出来るで

とまさかの返答。

中田さんは、三田食肉公社の当時顧問を務めておられたようで、全然知らなかった僕は驚きと喜びを持った記憶があります。

調べてみると

中田さんから三田牛についての知識をたくさん教えて頂きました。生産農家さんの家にもお邪魔しました。

農家さんが高齢化して継承者が少ないこと。経営的な観点で三田牛ではなく神戸牛をそだてることに切り替えたとこ。その他の要因もあり、年間200頭の生産しか現在はありません。3年前は500頭。

地域の誇りが消滅する危機をむかえていました。

地域の誇りを守るプロジェクト

三田牛は三田市民なら誰もが地域の名産とこたえるほど、市民の誇りともなっています。

そんな地域の誇りをまもるためにも、活用されていなかった革をブランド化し、少しでも高値で

牛が売り買いされ、また、手塩にかけた牛の革を、レザー製品として一生大事に使って頂くためにも、

絶対に製品化し、広めていこうと決めました。

レザーケア

革製品のお手入れについて

基本知識

革の鞣し方について

タンニンなめし

植物性由来のタンニンに皮を漬け込む製法で、ミモザやオークなどの植物から抽出されたタンニンが使われています。漬け込む製法は数ヶ月という長い時間と手間がかかりますが、革に負担をかけずじっくりと浸透させるため、堅牢で使い込むごとに柔らかくしなやかな革本来の風合いを味わえます。

クロムなめし

クロム化合物をドラムと呼ばれる専用の機械に投入し浸透させます。仕上がるまで1日程度と時間がかからない製法なので、戦後は多くのタンナーがクロムなめしに切り替えたと言います。柔らかく頑丈な素材に仕上がり、経年変化が少なく、定期的なメンテナンスの必要も無いため、車のシートやソファなどに多く使われます。

コンビネーションなめし

タンニンなめしとクロムなめしの両工程を行い、両者の特徴を取り入れた製法です。クロムなめしを行なった後、タンニンを加えて鞣します。タンニン鞣しのように経年変化を楽しむことができ、且つクロム鞣しのような強さと柔らかさを持ち合わせ革に仕上がります。野球のグローブなどに使われています。

 

 

 

関西テレビ 報道ランナーで特集頂きました!

三田レザー発信プロジェクト。

こちらは、兵庫県三田市の「三田牛」の革を使用した

レザー製品をひろめることで、年々減少する三田牛の飼育頭数を

増やしていこうというプロジェクトです。

 

元々捨て値で処理していたものを、価値あるモノへ変化させ、

地域資源を有効活用していきます。

 

そんな中、関西テレビの報道ランナーへの特集を組んで頂き、

放送して頂きました!

下記リンク

WEB記事

 

番組内では、タレントのはるな愛さんが持ってくれた財布が一番人気の

クラッチサイズの大きな財布です。